センタースプリング・トルクキャンセラー
(通称スプリングスライダー)



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2002/4月に行われた第29回東京モーターサイクルショーで、 BETTELLA社のプーリーキットが展示されてたんですが、 そのキットにセンスプとセカンダリプーリーの間に挟むスラストベアリングが入ってました。
 
古くから、センスプの巻き方向が変速に与える影響については色々言われてるんですが、 右巻きも左巻きも存在するのでどっちがイイとは言い切れない状況なんだと思います。
 
「ならいっそ不確定要素排除のためにセンスプの回転抵抗を無くしてみては?」という考えに立ったのが、 上記BETTELLA社のプーリーキットで言う“スライダーシステム”なんだと思います。
「変速時の摩擦抵抗を極限まで低下させることに成功ぉ〜!」とか書いてありました。
 
実はスプリングの座面にスラストベアリングを挟むのは別に新しいアイデアではないのですが、 スクーターのセンスプに挟めるような細いものが市場に存在しないので、 「うらやましいなぁ〜、小形スクーター用も作ってくれないかなぁ」と指を咥えて見てきました。
 
でも一度気になりだすと止まらないんですよねぇ。
考えてみれば センスプの反力なんて50kgfもないので、 その反力を受け止めるベアリングに要求される性能はさして高いものではありません。 ベアリングレースをアルミで作ったっていいくらいだと思います。
 
で、ちょうど手持ちの材料にS20Cという若干硬めで小形の機械でも加工できるレベルの鉄材があったので、 作ってみました。スラストベアリング。
丸一日かかりましたけど。





コレが出来たベアリングです

センスプの開き防止の壁を設けたので、単純なスラストベアリング形状ではありませんが

半円断面のベアリングボール軌道輪を彫り込んで、汎用ベアリングボールを仕込みました。
詳細な形状とか製作風景なんかは こちらをどうぞ。

こんな感じでセンスプの下に入ります。
セカンダリスプリングシートも要加工です。

でベアリングが入るように切り飛ばしたスプリングシート。
スプリングシートのカエシが受け持ってたスプリング開き防止の機能は ベアリングアッパーレースに付けてあるのでカエシを切除したのです。





試走





第1回目:ノーマルセンスプと組み合わせ

どういう影響が出るか皆目見当が付かなかったので、ポン付けで試走。
 
センスプにゲタも噛ませた形になり、センスプのコンプレッションが上がるのでWRセッティングがズレました。
若干吹け過ぎの感じになりますが、全然ダメというほどダメでもないのでこのまましばらく走行します。
というか時間切れでこのままNoripapaさんのoffに参加っ!見切り発車になっちゃいました。
 
 
offで羽田空港北トンネルの中。
スプリングスライダーをつけて初めての全開走行→最高速が下がったぁ〜(泣)
いままでは下り坂なんかだと110km/hあたりまで伸びてたんだけど、高速域全体が元気ありません。 過去にセンスプ強化したときには最高速には影響が出なかったのに、 5mmのゲタを履かせたくらいでバネがセットするはずは無いんだけどオカシイ。
 
結局offでは直前にやった進角調整のハズレも手伝ってイマイチな走行感でした。 そりゃぁノーマルよりはマシですがそれでいいワケないですよね。
 
offの参加者の“ある方”が「スプリングスライダー付けてるんですよ」とボソッと(驚)
このときはまだ発売されたことを知らなかったし、BETTELLAの特許で守られてるので 勝手に販売できないハズだと思っていたのに!
G-Axisに使えるサイズがあるんですか?熱ダレに強くなるとおっしゃってました。
わたしのほうは最高速低下のショックが大きくて加速時の特性なんかはちょっと分かりませんでした。





第2回目:弱化センスプと組み合わせ

吹け過ぎになっちゃったのでWRを重くするかセンスプを弱くするか。
 
WR調整で済ませるのもなんか簡単すぎちゃうなぁ、と思ったのでセンスプを弱くしてみることにしました。

過去に弱化センスプとしてGEARのバネ+9mmゲタで走行した実績があるので、 それとの比較と考えてみることにしました。
スライダは厚さ5mmなので4mmのゲタを追加して合計9mmのゲタと噛ませたのに相当する構成とします。
 
 
なんじゃコリャぁ〜(泣)
走り始めて10分もするとマトモに発進できなくなります。 トルクの無い回転域でクラッチが捕まっちゃって発進加速がゲロゲロ。
立川のアルマイト屋に処理依頼品持込みに、往復63kmでゲロゲロセッティングを堪能してきました。
最高速なんか試す気も起きませんでしたね。
 
でも、おかげで不具合の起きるモードが掴めました。
  1. ゲロゲロに陥るケースは減速直後の再発進時に多い
  2. そのとき3,000r.p.m.前後にも関らずクラッチを引きずっている
  3. リアブレーキを握ってスロットルを開けるとゲロゲロになりにくい
  4. セカンダリスライドは新品交換済みなので
    トルクカム偏磨耗の影響ではない
 
 
おそらくセカンダリシーブが閉じきらなくてベルトが初期位置まで落ちてこなくて、 スタート時にすでに変速しかけているのではないかと。
これだけハッキリと走行性能に影響が出た改造は久しぶり。
フリクションロスを低減する部品なので使い方によっては生きてくると思うんですが、 もう少し圧力カーブが違うセンスプと組み合わせないとちゃんと使うのが難しそうです。
 





第3回目:強化センスプと組み合わせ

弱化センスプとの組合せがゼンゼンダメだったので、今度は強化センスプと組合せ。
 
G-Axis1型純正より強いのは2型用とBw's100用。 ただしBw's用は巻き数が多くてベアリングを入れると最高速時にスプリングの素線同士が接触してしまうので 今回は使えません。Bw's用は変速開始時の圧力が高いのに変速終了時は弱くなるという、 加速が良くて最高速も出やすいセンスプなので、スプリングスライダーと組合せるには持って来いの バネだったんですけどねぇ。
 
 
 
で、試走感なんですが、ここまでやってやっとこさいい結果が出てきました。
このセッティング以前はノーマルボアのトルクが足りなくてスロットルへの追従が一瞬遅れ気味だったんですが、 どこから開けても素早くキックダウンします。
最高速の低下もないみたいです。
 
以前、センスプだけ2型用にしたときはトルク感の向上はあったものの、 キックダウンが遅れ気味になっちゃったんですが、 2型センスプ+ゲタでさらにセンスプ圧力が上がってるにもかかわらずキックダウンが素早くなったのは ベアリングのおかげと言えるでしょう。
 
思うに、ノーマルのセカンダリはセンスプのねじり力も反力に入れて復帰力を計算しており、 スライダでねじり力をキャンセルしちゃうと低速時にセカンダリシーブが閉じきらなくなっちゃうんじゃないでしょうか?
ノーマルセンスプはセカンダリを閉じる方向にねじってありますからね。
 
このねじり力に相当する力を強化センスプで与えることによりセカンダリ閉じ不良が起こらなくなり、 ベルトをはさむ力が増すのでトルク感と熱ダレ耐性が向上、ベアリングにより中速域でのセカンダリの動きが良くなり キックダウンの向上となるんだと思います。
そう言えばBETTELLAのキットも必ずスペシャルセンスプが付いてくるもんねぇ。





クラッチミートミスとの関連

ちょうどこのスプリングスライダを付けたり外したりしていたころ、 ナゾのクラッチミートミスに悩まされてました。
 
走り出して10分ほどすると発進時に低回転でクラッチがベッチョリ貼り付いてしまい、 マトモに発進しなくなる、と。
ちょうど弱いセンスプとスライダーを組合せた時と似たような感じなんだけど、 百発百中で出るわけではないので原因を掴めずに難儀してました。
 
そこへ来て、強いセンスプとスライダーを組合せることにより上記の不具合がイッキに解消して、 更に熱ダレ耐力も上がったようだったので、
「あのミートミスは熱ダレだったんだなぁ」と一人合点してました。
 
 
ところがどっこい、強化センスプ+スライダーで景気良く走っていたところ、 またミートミスが再発しはじめまして....
ここまでやって再発するとなるとスライダーを付けたセカンダリ回り以外に 真因があると考えるのが自然でしょうね。
 
 
と、いうわけでスライダー外してみました。スライダーがない以上強化センスプ付けておいても意味無いので、 Bw'sのセンスプを付けて駆動系のセッティングを出しました。
ミートミスが出なくなりました。
 
加速フィーリングも良いし、なんたってミートミスが無いので乗っててウツになりません。 「なんだ、スプリングスライダ意味無しかぁ?」なんて思っていると....
 
最後のセッティング変更から200kmほど走行するとまたミートミス再発。もー何がなにやらワケワカメ(泣)
プライマリスライドの段付き磨耗を修正したり 「セカンダリをバラした後は調子が良いなぁ」(関連性は分かりませんが)とコジつけて 意味も無くセカンダリをバラして何もしないで再組み立てしたり、 使用限界に達していたベルトを交換したりしました。
 
上記の変更(?)をイッキにやってあるoff会に参加しましたが、調子良いですねぇ〜。
って、しまった!どれが原因なのかわかんなくなっちゃった。
 
それからこのページを上げるまで約300km走行しましたが、その時点では加速性能のズレは出ていません。 スライダは外したまんまです。





というワケで現在は放置です

 
わたしの場合疲労困ぱいして自作したので「苦労のワリに効果がイマイチだったなぁ」という感想ですが、 今はG-Axis用(YAMAHA汎用)のものが\3,500で販売されてるので、手を出してみるのも面白いでしょう。
付ける前の車両に加速不良などが出ていなければ強化センスプと組合せることで割と簡単にセッティングが出ると思います。
 
ただし、強化センスプとセット→WRも重めとなるのでベルトの消耗が激しいです。
スライダ取り付け前は2,400kmで0.5mm減っていたのに、取り付け後の800kmで0.5mm減ってました。 3倍早く減るってことですよ。スゴイですね。

 
機会があったらまた挑戦してみようと思ってます。 とは言えいつになることやら。
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