スクーターを分解/組立てする際、サービスマニュアルを参照していると「専用工具を使え」
の記述が目に付く。
専用工具を持ってればそれを使うに越したことはないが、無ければ無いでどうにかなるものも多い。
また、専用工具は汎用性ゼロなうえ、買い足していくと工具箱のなかでかさばってウザい。
そこで、今回は専用工具が最も多く登場する“変速機”の分解/組立てを汎用工具で行う方法を
紹介しようと思う。
乱暴な方法が多いのでお勧めはしないが、旅先で特殊工具がないときなどに緊急避難的に
利用することになるかもしれないので、普段から色んな方法を工夫して実践しておくのは
悪いことではない。
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まずはプライマリプーリーの分解。
G-Axisの変速機を初めてバラしたのは、キタコ製ハイスピードプーリーを買ってきた時だった。
それまで、JOG→CHAMP-CX→Axis90と乗り継いできて、ずっと使いつづけていたオイルフィルター
レンチが、プーリーの大径化によってあっさり使えなくなってしまった。
普通はここで専用工具を買いに走るのだろうが、開けてしまったミッションケースを
なにもせずに閉めて二度手間を食うのがイヤだったので、手持ちの工具でなんとかすることにした。
この方法でキタコプーリーを組んでしばらく走行した後、セッティング変更の際にプーリーロックレンチ
を購入した。これはあったほうが便利だし細長い工具なので場所も取らない。
なお、このワザはプーリーに切り欠きや放熱フィンがある場合にしか使えない。
最初のバラしの際の試行錯誤でフィクストシーブのインペラに丸棒を掛けて外そうとしたら
インペラが一枚折れてしまった。キタコプーリーにはフィクストシーブが付いて来たので
よかったが....
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次はセカンダリ。
メガネレンチを掛けてレンチの柄をハンマーでひっ叩く。5〜10発くらいでナットが緩む。
クラッチアウターが取れたら指でシーブを開いて(これがけっこうキツい)ベルトを落として
クラッチ/セカンダリプーリーAssy'を取り出す。
クラッチインナーの41mmナットはタガネを掛けてハンマーで叩いて緩める。
緩んだら足裏で踏みつけながらナットを外して静かに足を上げる。気を抜くと1m飛ぶらしい。
組み付けは逆の手順。
最後のクラッチアウターセンターナットはメガネ+ハンマーで締めても良いが、もっと簡単な
方法を紹介する。
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クラッチセンターナットの締めつけ
リアホイールのイナーシャを使って締める。
ナットを2,3山掛けてメガネレンチをはめてリアホイールを正転方向におもいっきり回す。
この方法で過去15年のスクーターいじり人生で走行中にナットが緩んだのは、このG-Axisに
なってから、たった一回だけである。一回緩めば十分信頼性がなくなると思うが、いまだに
この方法で締めつけている。
もともと、このセンターナットはクラッチミートの際に締めつけ方向にイナーシャが働くので
緩みにくい構造になってると言えるのである。
そこらへんのおごりと「一回も緩んだことない」実績と初めての12inchタイヤの持ちにくさ
で与えた回転がプアになってしまったのだろう。それからは気合をいれてホイールを回している。
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いかがでしょうか
専用工具をお持ちのかたも非常事態の時にはこんなこともやってるんじゃないでしょうか?
ほかにも、C.D.Iマグネトーのローターを根気良くハンマーでコンコン叩いて外したこともあった。
何のために外したのか忘れてしまったが。
エンジンは空冷2ストなので、変速機さえバラすことができれば、あとは大方汎用工具でバラせると
思います。フロントフォークもバラしたことがあるけど特別な道具を使った覚えはないし....
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