4VPシリンダー水冷化、その7:試走編・第三回目

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その6:試走編・第二回目へ
 
 
 
前回はプラスチック製のホースクランプを排除して金属製に替えるなど、 水漏れの改善を主に進めましたが、 結局交換したクランプからも水漏れしてポンプがエアを噛んでしまい、 沸騰→試走中止となりました。
 
今回はこのクランプの再交換と、エアを噛みにくい位置へのポンプ移動を行います。
 
 
 

一晩明けて、ラジエターホースの接続部から冷却水が垂れて水溜りが出来てました。
 
 

ノールマホースクランプ

プラスチック製のホースクランプで水漏れしたのは締め付け力が足りなかったからだろうと思い、 近所の金物屋さんでテキトーな金属製クランプを買ってきて投入しましたが、 むしろこの金属クランプの方が漏れ量が多いという意外な結果でした。
 
逆に、今まで漏れてない所は全て(一箇所だけ別物) ノールマというドイツのメーカー の全ステンレスのクランプです。 以前から「全ステンレス」というところが気に入って愛用していたのですが、 実はこのノールマクランプって締め付け性能の面でも優れたものだったのかもしれません。
 
前回水漏れしたクランプとどこがどう違うのかよく見比べてみることにしました。
 
 

こちらは近所のオジーチャンが営む金物屋さんで買ってきた“ジーチャンクランプ”
バンドとハウジングがステンレス製で締め込みスクリューが鉄製。
 
 

こちらが水漏れが起きていない“ノールマクランプ”
バンド、ハウジング、締め込みスクリューともステンレス製です。
 
 
 
ノールマはホースに接する面の構造が几帳面に斜めにしてありますね。
スクリューホルダーの下面が真直ぐだけど、そこに接するバンドが“く”の字形に盛り上げられていて、 スクリューホルダー下面とバンドの内側が連続面を形成するようになっている。
更にバンドの重なり部分も斜めに切ってあって、ここもホース軸に対して平行な溝ができないように工夫されてます。 重なりのベロの部分に溝が切ってあるのは、締め込みの時にスクリューホルダー部が滑らないような配慮でしょうか。
バンドのフチもクルッと丸めてあって、ホースを傷つけにくいようになってます。
スクリューとの噛み合わせも盛り上げ形状で、スクリューと面で接触する構造になっていて、 強いトルクで締められるようになってます。
 
対するジーチャンクリップはスクリューホルダーの折り曲げとかバンドの重なり部分とかに、 ホース軸に対して平行な溝がそのまま残ってます。
この溝の部分で締め付け圧力が不均等になると、 そこの部分でホースに縦のシワが寄って水が染み出してきそうです。
スクリューとの噛み合わせもバンドに切った長穴の端面なので、 強い力で締めると「バチッ」とかいってスクリューが滑りそうです。
 
ノールマのクランプは全体として形状に妥協がないというか、 「漏れのないクランプを実現するために、考えられる形状は全て盛り込んでみました」 という印象があります。
ドイツ人ってエロサイトの変態度もハンパじゃないし、 そういった変態的国民性をホースクランプの製造に向けると、 こういうクランプが出来上がるんでしょうねぇ。
ドイツ関係の方が読まれて気を悪くしたらゴメンナサイね。
 
 

これはノールマ以外で唯一漏れてなかったクランプ。
DEAL/MEXICOと書いてあります。
上の二つに比べて小径なのでうまくホースに均一に圧力がかかったためと思われます。
スクリューとの噛み合わせが穴なのであまり強くは締められないでしょうね。
 
 
ホースクランプは全部ノールマに換えることにして、 いつもノールマクランプを買っていた青葉台のドイトに行ってみたら、 在庫が足りなくて必要数に一つ足りません。 接続箇所を減らせばクランプの数も減らせるので、 循環系からヘッド回路だけ切り離すために設置していたボールバルブを撤去してしまうことにしました。
だって、ウォータージャケットは水漏れしないし、エンジンの出力感はけっこうイイ線いってるようで、 改善を行うために水を抜くのはヘッドより上の部分ばっかりなんだもん。
 
 

ポンプ送水能力の確認

ポンプ部のホースクランプをノールマに換えたところで、 隔離病棟でvuuさんからアドバイスを受けた 「一度ポンプ単体で、「水芸」を再確認した方が....」 というのをやってみることにしました。
 

ポンプから10cmほどの高さの場所での吐出量。
「トポトポトポトポ」といった感じの量です。 これで足りるのか?といっても判断できないので、 「送水は行われている」ということを確認できたところでヨシとしました。
 
 

「それじゃ、どこまで揚水できるのかな?」と思ったので、 ポンプを動かした状態で吐出側のホースを上に上げてみて、 どこまで水位が上がるのか見てみました。
ちょっと分かりにくいかもしれませんが、 ポンプから40cmくらい上まで上がるようです。
 
 
 

またもポンプから水漏れ

送水能力確認を行っているとポンプからポタポタと冷却水が滴ってきます。
気になってはいたんです。ポンプ組立てのタッピンネジが穴をナメはじめてて、 締め込み完了時にヌルッと滑るので、トルクがかかってないかも....と思ってたんですよね。
 
 

わぁ〜、ヒデー
吸入セクションと吐出セクションの合わせ目から漏れ放題です。
 
 
タッピンネジを撤去して穴を4mmのドリルで広げて、 M4のスタッドを通して両側ナットで締めることにしました。
 
ただし....こういった小さなトラブルがポコポコ出てくるデバイスって、 「使い物にならない」と判断したほうが良いですよね。
今のところポンプはこれしか手元にないので、これで次の試走に出てみますが、 ダメだったら今度こそポンプを替えようと思います。
 
 

ウォーターポンプ移動

ホースクランプを全部ノールマに換えれば接続部からの水漏れは止まるでしょう。
 
しかし、前回の試走で露呈したもう一つの問題、
「ポンプがエアを噛んで循環が止まる」という現象は、 ポンプが高い位置にある以上、常に発生の危険を内在しています。
 
オレも変態ドイツ人を見習って、考えられる危険は片っ端から排除したいと思いました。
 
 
しばらく車両とニラメッコした末、ステップボード下面に斜めに取り付けると、 ホースの取りまわしにも無理がなく、ウォータージャケットとほぼ同じ位置までポンプを下げられるのが分かりました。
 

20mmのアルミパイプの片方を潰して曲げ、 もう片方の端に抜け防止のボルトを入れたステーを作りました。
 
 

これをメインフレームのステップボードが乗る出っ張りに取り付けて、 ポンプユニットをパイプにナイロンバインダでくくり付ける。
もう、完全に一時しのぎの形状です。
 
 

サイドカウルとポンプが干渉するので、 ホットナイフでカウルを一部切除。
ポンプ組立てネジはM4スタッドに変更、 この状態で水漏れは無くなりました。
 
 
ポンプ移動と同時に、ウォータージャケットへの水の供給経路も変更しました。
隔離病棟でKONさんが「ポンプ循環力と自然循環力が近くなってしまうと止まってしまうのでは」 とのアドバイスをくれたのが気になってたので、 ウォータージャケットの下側から入水し、上から排水、 自然循環力とポンプ循環力の方向が同じになるようにしてみました。
 
 
 
 

エア抜きバルブ設置

ポンプの位置を下げたので、循環経路で一番高いのはラジエターの入水部ということになりました。
ラジエター取付時に下げたり回したりしてラジエターのエアを追い出すことはできるのですが、 この一番高い位置にエア抜きバルブがあればもっと楽に注水作業ができます。
 
 

新たにM16ニップルとエルボージョイントを作りました。
一番高いところにM5のネジを切った穴をあけてエア抜きバルブとしました。
ラジエターから出ていたパイプを切断して、 その穴にM16のタップをたててエルボーを取り付けます。 こっちのほうがホースの張り出しが少なくなって見た目もスッキリしました。
 
 
 

試走3回目

翌朝、水を入れて一晩置いた車体下には水漏れは見られません。
取り敢えずこの状態で走ってみましょう。
 
 

試走開始時、水温5.8℃
 
 

エンジン始動から5分ほどで30℃になりました。
 
 

ここでポンプを起動して、水温が下がり始めたのを確認して走行開始。
 
 
 
でも....多分ダメですねぇ....
上がり方は鈍いものの、60℃を超えても水温が安定しません。
走行開始から5kmほどのところでUターン、ブローする前に帰還できるでしょうか....
 
 
 

Uターンから3kmほどで100℃に達しました。
エキパイから蒸気も出始めました。
 
 

路肩に寄せてエンジン停止。ポンプだけ動かしながら水温が下がるのを待ちます。
 
取り敢えず80℃まで下がったところでエンジンを掛けて帰路につきます。 クランクケースに水が入ったようで、エンジンの掛かりはスコブル悪かったです。
 
走行を再開すると、あっという間にまた100℃に達します。
でもエンジンの回転そのものは軽快、「このまま走ったらどうなるん?」と思ったので、 今度はクールダウンさせないでそのまま走ってみました。
 
エキパイからは相変わらず蒸気が出るけど、走行感は悪くない。 信号とかで止まると90℃くらいまで水温が下がるので、 この冷却系の安定点は90℃のあたりにあるみたいです。
一定速度の走行が続くと水温が上がってくるので、 エンジン回転と共に吐出量が増える機械式ポンプに変えれば、 水温は低下傾向に転じるかもしれません。
 
 
家へ向かう道路に入る交差点に来たのですが、 「このままどこまで走れるかな?」と無謀な考えが頭をよぎりました。
水温は100℃と90℃の間を行ったり来たりです。
そこから5分ほど走って信号で止まったところ、 シートの下から蒸気が上がり始めました(笑)
 
さすがにもうダメですね、バイクを家に向けます。
走り去るときに先ほど停止してた場所を振り返ると大きな緑色の水溜りができてました(汗)
そこから1分ほど走って帰還、試走3回目も満足な結果を得られずに終了しました。
 
 
 

車体下にハデに水を噴いたので、ウォータージャケットから噴いたのかと思ったのですが、 ウォータージャケットからラジエターに向かうホースの接続部が外れてました。 もちろんノールマクランプで締めた部分です。
 
 
この部分の接続に使った連結ニップルは“クビレ溝”はあるものの、 “引っ掛かりリング”が無い構造のため、 ホースが熱で柔らかくなってクランプの圧力が掛からなくなった時点でスポッと抜けてしまったのでしょう。 冷却経路の変更で一番熱い水が当たることになったこの部分が抜けたというワケです。
 
 

更にコレ、ヘッドのオーリング溶けました。
ホースが外れてウォータージャケット内が沸騰してしまったので、 ヘッドはもっと熱くなっていたのでしょう。
 
 
 
さて、どうしましょうか....
悪かった部分を全部変えるとなると、
・ウォーターポンプを吐出量が高く、回転とともに吐出が増える機械式に交換
・ラジエターを風に当てるために車体前面に移動
・オーリングを耐熱性の高いものに交換
・ホースを熱水専用の変形しないものに交換
・引っ掛かりリングをつけた連結ニップルを製作、交換
 
でも、本当に全部変える必要があるでしょうか?
今はどこに一番のネックがあるか分からない状態ですが、 このネックが明らかになれば、水温の上昇が止まるというよりは低温状態で安定するようになると思うんです。 昔のRZR-250みたいに大したラジエターも付いてないクセに冷えすぎるくらい冷える、みたいな。
 
低温安定傾向になればオーリング、連結ニップル、ホースはそのままで持つはずです。 闇雲に高性能のパーツに交換してしまうのではなくて、 真の原因を明らかにして対策を施し、そのほかの部分は汎用性があり安価なパーツを使う。 これこそ機械システムの問題解決の本筋じゃろ、一応プロであるワケなんだからよ。
 
 
 
 
マイナートラブルが頻発する上に吐出量も少ない亀ポンプにはいよいよ見切りを付けようと思います。
 
ポンプを替えてもダメな場合はラジエターを前に持ってきましょう。
 
それと、ラジエター入水エルボーにエア抜きバルブを設置したときに、 ここに細いホースをつないで、ポンプで吸ってエアを強制排除することができないかな?と思ったんです。
そしてそのとき、長い間疑問に思っていたランナーのヘッドとポンプ出口を結ぶ細いホースの役割が分かったんです。 このホースでヘッドのエアを吸い取って、ブリーザータンクのあるラジエターのほうに強制排出する、 いわばアクティブエアブリードシステムといえる循環経路構成になっているんだと思います。
年始の恒例行事でお会いしたhifさんが 「ヘッドのエア抜きを完璧にすると、途端に水温が下がることがあるよ」 と言っていたこととも符合します。
 
 
 

逃げ道ナシ

近々、このGアクの車体で試作しなきゃならないパーツがあるので、 ポンプの入手(あるいは製作?)に目処が立つまで一旦空冷に戻すことにしました。
 
 

クランクケースに水が入ったっぽかったので、 空冷に戻した時点でひとっ走りしてケースの中の水を蒸発させておこうと走りに出たのですが、 回転を上げるとシリンダーかクランクケースのあたりから 「カンカンバリバリ」と甲高い干渉音が出ます。
このまま走りに出るのは怖かったので家の近くで30分ほどアイドリングさせてエンジンが暖まったところで帰りました。
 
Gアクが使えないと、ランナーが壊れたときに足がなくなるので、 なんとか空冷で走れる状態に戻したかったのですが、 シリンダーをバラしても特に異常ナシ、 ベースガスケットを余計に入れて組んでも異音が出るのでクランクとシリンダーの干渉でもない、 ミッションのほうも開けてみたけど異常ナシ、 ジェネレータローターも外してみたけどここも異常ナシ、 マフラーを外して逆さまにして振ってみてもナットとかは出てきませんでした。
途方にくれてウォータージャケットが無い状態で水冷シリンダーを組んで、 ちょっとだけエンジンを回してみると異音はありません。
 
空冷55mmシリンダーはどこかがおかしくなってしまったようです。 クリアランスが大きいので首振り音がするのは分かっていたんですが、 こんなにデカい音じゃなかったと思うんだけどなぁ....
Gアクを動かすには水冷エンジンを仕上げるしかないようです....
 
 
 
まずポンプ探しましょうか。
毒を食らわば皿まで!機械式じゃ〜!
 
 
 

機械式ポンプ編に続く

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