φ55シリンダー、ナラシ/当り取り

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2004終わり、3万7千キロ走行にてクランク交換シリンダ/ピストン交換を行いました。
つまり、心臓部をほぼオーバーホールしたと言って良い状態でしょう。
 
いつの頃からか、ピストンやシリンダは「改造してるんだから壊して当たり前」とばかりに、 壊しては新しいエンジンを組んで、ナラシもソコソコにフルパワーを掛けてまた壊す、 というサイクルを繰り返すようになっていました。

そして2003終わりから2004夏にかけて3本のピストン穴あきを経て、 心臓オーバーホールを行う決心をしたワケですが、 本気でオーバーホールを行う覚悟ができたときにフと思いました。 「そういえばナラシとか当り取りとかをちゃんとやってた頃が一番長持ちしたな」と。
 
オレ、間違ってました。「どうせ壊れるんだから」なんて態度で改造してたらそりゃ壊しますよね。  
クランクやベアリングまで新しくなったんだから、 久しぶりにちゃんとナラシやってみましょーねぇ。
 
 
 

ナラシ運転について

でもこのナラシ運転って、どうやれば良いんでしょう?
ナラシ運転の手法についてJIS(日本工業規格)の推奨手法なんてものがあれば別ですが、 「ナラシってどうやってます?」と話しを聞くと人によってやり方がマチマチです。
 
 
以下にわたしが聞いたなかで特徴的だと思ったナラシ手法について記します。
 
くわまんさん
「ピストンリングのオイシイところは最初の20km」
−−つまりナラシ無しってことでしょうか、 今もそうですか?
 
mayakoさん
回転を抑え気味に距離は1,000km
−−スクーター用タコメーターが一般的でなかった頃に聞いたので、 どのくらいの回転に抑えるのかは不明です。 1,000kmという距離を聞いてメマイをおぼえました。
 
●Ryoさんの行き付けの内燃機屋さん
エンジンを組み上げた後、チンチンになるまでエンジンを回して一旦終了、 翌日(つまり完全に冷えた後)もう1回チンチンになるまで回してからエンジン停止、それで終了。
「クロスハッチが消えるまでナラシしちゃダメだよ」とのこと。
−−「チンチン」が具体的に「何処が何度になるまで」を指すのか不明。
しかしエンジンの専門家である内燃機屋さんにとっては 走行距離とか走行条件は関係ない様子。
 
●雑誌で読んだレーシングマシンのケース
上限回転はピークの70%程度
コーナーの進入などでスムースに回転を落として、 コーナーの立ち上がりでスムースに回転を上げていく。
コースを5周くらいして終了。
−−5周といっても1周の走行距離が不明なので距離は重要じゃないのかも。 スムースに上げてスムースに下げる、コレか?
 
●わたしの場合
わたしはナラシをやる場合、距離は200km、 上限回転はパワーバンドに入る手前くらい、 という2点を目安に行ってます。
 
 
 
 
結局、距離はゼロから1,000kmまでバラついてるし、 「クロスハッチガ消えるまでやっちゃダメ」というなら1,000kmも必要ないかも、 そうなると大体1回給油に相当するくらいの200kmなんて妥当な線だと思うんですけど。
 
回転は“抑え気味”というのが共通してるので、これも“パワーバンドの手前”で良さそう。 スムースに回転を上げてスムースに下げるのを心掛ける、と。
 
 
 

今回のナラシ走行時の主な仕様

エアクリーナー:純正改
キャブレター:Dellort-PHBL22
リードバルブ:TZM改+Boyesen Power Reed
シリンダ:4VPボーリング、55mm、ポート加工
ピストン:DGW55mm
シリンダヘッド:HIDヘッドVer.2、11.9cc、ガスケット2枚増量
マフラー:5FA1ノーマル
 
スパークプラグ:BPR8HSA
C.D.I.:5FAノーマル
進角調整:なし
 
プーリー:キタコパワードライブ改
ウェイトローラー:デイトナ9.0g×6
ベルト:カメレオンファクトリー、グランドアクシス用
クラッチ:マロッシフライクラッチ+緑スプリング
トルクカム:3FC
ファイナルギア:4VPノーマル
 
 

ナラシ実走行

●エンジン始動
セルの回りがだいぶキツイです。 燃焼室はガスケット増量で14ccに相当する容量になっているはずなんですが、 まだ圧縮が高めのようです。
 
エンジン始動から5kmほど走ったところで 点火不調でバスバスボコボコとマトモに走らなくなる。 シリンダ交換後なのでガソリンタンクにオイルを投入しておいたんですが、 1リッターほどしか残ってなかったところに 手元が狂ってオイルをドバッと入れてしまったのが原因と思われ。
同じような現象がT's54のときも出たし、 ガソリンを補給してオイル濃度が下がったら徐々に回復していったので。
 
振動が若干増えました。
中速走行時にステップフロアを介して足裏にジリジリくる感じの振動です。
 
 
 
●0〜100km
ノーマルマフラーだと、6,400r.p.m.くらいからパワーバンドに入るような感じです。 回転上限を5,500〜5,900r.p.m.くらいに設定して走行しました。
 
重めのウェイトローラーのせいもあってスロットルと車体の動きがとても重く感じます。 低回転で走ってるのだから仕方ないですね。
長い直線だと5,900r.p.m.で70km/hまで伸びました。
 
 
 

当り取り

100kmちょっと走ったところでちょうど時間が取れたのでバラシ&当り取りをすることにしました。
 
ここまでの燃費は21.5km、抑え気味に走ってるワリには良くないですね。

ピストントップ。
ん〜、良いのか悪いのか判断つきません。 特に問題は無さそうとも言えそう。
 

シリンダスリーブ内側、ピストンスカートが当ってる部分にけっこうな擦過痕が。
 

排気側も同じような状況。
 

ピストンのほうは斜線を引いたあたりにシリンダボア面との当りが出ています。
 

排気側もほぼ同じ形状で当り面が出ています。
 
 
 
以前、54mmのシリンダーで当り取りをしたときのような、局所的な擦過部は見当たりません。
クリアランスが大きめなので熱膨張による局所的な当りが生じにくいのかもしれません。
 
特別に紙ヤスリなどで落としておきたくなるような当り部がなかったので、 外観チェックのみで終わりとしました。

シリンダスリーブ内側の擦過傷が気になったので、 54mmピストンに入っていたエキスパンダリングを セカンドリング溝に入れておきました。
セカンドリング溝はトップリング溝より深くなっていて、 いかにも「エキスパンダリング入れて」という様子だったので。
 

プラグの焼け色。
特に薄くも無く濃くも無くという感じに見えます。 抑え気味に走っていればキツネ色になることなんか無さそうですしね。
 

気になっていた2次圧縮を測ってみました。
1.15MPa(11.5kg/cm^2)というとノーマルマフラーなら ちょうど元気良く走る圧縮値でしょう。
 
しかしチャンバーを入れるとなると1.0MPa以下くらいになるように持っていきたいので、 もう1ccほど増量した燃焼室にしたいところです。
「もう1ccっていうと15ccかぁ〜」ノーマル排気量だと12ccくらいで良い感じだったので、 「15cc必要」となってみるとあらためて「排気量が上がったのだなぁ」と実感しました。
 
 
 

仕上げ走行

●100〜150km
回転上限を6,400r.p.m.まで上げて走行します。
パワーバンドのギリギリ手前という感じの回転域なんですが、 変速機の動作でクリクリと加速していきます。
プーリーストッパーは入れていないのですが、 中速域でスロットルに良く追従してきます。 この領域で実用トルクがうまく出ているのだと思います。
なんか、かなり良いエンジンができちゃったのかなぁ、 とか自画自賛しながら走行を続けました。
 
で、このくらい走ると街乗りレベルでは特に不便を感じることはありません。 6,400でちょっと伸ばして80km/h、ノーマルファイナルギアにしては高速性能もまずまずのようです。
 
発進のときだけ吹かしすぎないように注意して、 クラッチがミートしきってから6,400r.p.m.までは エンジンの回転に合わせてスロットルを開けていくような乗り方を心掛けました。
 
 
●150〜200km
6,400r.p.m.を意識しつつ、クラッチミート後に時々7,000r.p.m.まで回してみました。
ミート直後はウェイトローラーの重さにエンジンがついて来ない感じです。 ここを過ぎるとキュ〜ンと70km/hあたりまでスムースに変速して、 その後、妙にキレイに伸びようとするんですが、これは若干イヤな予感。 冬で気温が下がっているので、こういう伸び方をするときは調子にのっているとアッサリ抱き付いたりするもんです。
レースじゃないんだから高回転は少し重いくらいで良いんじゃないかな。 メインジェットを5番上げてクリップ位置で微調整してから、 本格的に高回転の様子を見ることにします。
 
 
●200km〜
ナラシ開始から260km、二回目の給油を済ませたところでナラシ終了としました。
といっても、まだキャブやWRの再調整もしてませんし、 心の上での一応の区切りを付けたといったところで、 「発進時に吹かし過ぎない」・「回転上昇に合わせてスロットルを開け、下降に合わせて閉める」 を心掛けながら走ります。
 
 
●290km
キャブ再調整:MJを#95→#100に
 
 
●325km
90系プーリーの特性に合わせるのと、2次圧縮低減のためにポート加工。
排気ポート上辺を2mm上げました。
圧縮値は1.05MPaに。
 
 

シリンダヘッド交換

スキッシュ径55.5mm、容量14.5cc。
スキッシュ厚を0.5mmにしたら燃焼室がデカイデカイ。
 

圧縮は0.98MPaまで下がりました。
 
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