5FAプーリー更正プロジェクト:その3
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17mmWRを導入する
前回のYAMAHA純正18mmWRでの走行では
プーリーストッパー
が期待した効果を示してくれませんでした。
プーリーストッパーの効果以前にWRが重過ぎで変速中ずっと谷にハマリっぱなしという感じでした。
WRの重量調整をしたいんですが、手持ちが10.1g6ヶだけではなんともなりません。
え?買えって?
いやそれよりいい方法があるんです。
以前から5FAプーリーにSUZUKI用の17mmWRを入れるという改造方法がNoripapaさんをはじめ、 色々な人から報告が上がってきてました。
17mmのWRを使うということはランププレート押し上げも1mm減ると言うことであり、 そのままでは最高速が下がるのは容易に想像がつくんですが、 17mmのWRにするとランププレートの最下位置がなんと1.7mm下がり、 全体としてプーリーの移動量が0.7mm増える、つまりワイドレシオ化するとのことです。
水色の線で表したベルト断面図形は18mmWRを使ったときのベルト最大リフト及び最低落ち込み位置、 オレンジが17mmWRを使ったときのベルト上下位置。
最大リフト量の低下分に比べて最低落ち込み位置が下がる量が大きいのがわかります。 つまりワイドレシオ化するワケです。
最高速が減った分は短いボスを入れてやればいい話だし、 ちょうどわたしが使ってるのと同じ0.7mm短いボスをキタコが販売してるので、 手の出しやすい改造といえますよね。
それにNoripapaさんやHaruさんからDAYTONAの17mmWRを借りたりもらったりしてるので これを使わない手はないんです。もうノーマル18mmWRはポ○でしょ。
17mmWR、標準ボス長、プーリーストッパーなし
まず走り始める前に前回までのマーキングを消して 高速側と低速側に新たなマジックマークを入れておきます。
18mmWRに比べてベルトの移動量がどれだけ増えるのか確認します。
これが17mmWRでひとっ走りしてきたあとのシーブ面。
高速側はマーク消失径が90mmから89mmに下がってます。 低速側は1.5〜2mm残っていたマークがキレイになくなりました。
走行感はというと、まずは18mmWR(10g×6)と同じセッティングとなるよう 12.5g×3+7.5g×3にしたので全然加速しませんでした。
変速の谷も相変わらず出まくりでした。
最高速はキッチリ80km/h。どノーマルに近い構成で80km/h出れば御の字だと思います。
この状態で東京ビッグサイトにある展示会を見に行ってきました。 途中銀色のG-Axisに乗った70歳くらいのおじいさんと信号で並んだんですが、 けっこう飛ばす方で、最高速で引き離されて「フン、遅いな若造」と背中で語られてるようで クヤシかったなぁ。
WRはこの後12.5×3+5.0×3→8.0×3+7.5×3と軽量化したんですが、 加速フィーリングはある程度改善するものの、 変速の谷はあいかわらず30km/hあたりで発生してます。
次に17mmWRのままボスを短くするので 新たにマークをひきなおします。
17mmWR、短ボス、プーリーストッパーなし
クラッチミートあたりのトルクは十分なので、ワイドレシオ化したぶんを高速側に振り向けるべく、 ボスとランププレートの間に挟んでいた0.7mmワッシャを抜いて、 ランププレートとセルクラッチ板の間に入れ替えます。
元々ボスを0.7mm削って使ってたので駆動系をノーマル化するときは ボスワッシャを0.7mm余計に入れていたのです。
抜いたワッシャを完全に取外さないでランププレートとセルクラッチ板の間に移したのは 一応ベルトのアライメントをノーマルと同じにするためですが、 これをやったときとやらなかったときで変化が出るのかどうか未確認です。
オマジナイみたいなもんです。
ボスが短くなったのでベルトの落とし込みはそのぶん悪くなります。 WRを若干軽めに、8.0×3+7.5×3から8.0×3+5.0×3に変更しました。
ところがこのセッティングから30km/hあたりでの変速の谷が小さくなりました。
まだはっきり「あるな」と分かるレベルですが、18mm重すぎWRとは明らかに違います。
最高速は18mmWR+ノーマルボス長のときより上がって85km/h
(このときはけっこうな風が吹いていて追い風時は88km/h。 同じコースを戻るときの向かい風記録82km/hとの中間値を記録としました)
このときのベルト最大リフト径が91.3あたり。
18mmWRと標準ボスのときは90.3でした。
低速側はやはり17mmWRでワッシャ抜き前より若干マークが残りますが、 18mmWRのときよりだいぶ落とし込めてます。
17mmWR、短ボス、プーリーストッパー3.0mm
変速の谷は今までで最も小さく、発進直後30km/hのあたりでかすかに感じる程度。
WRのセッティングがあってるのか谷の領域を一瞬でパスしてしまうので、 変速終了まで谷にハマったままということが無くなります。
その後プーリーストッパーの分担領域にスムースに繋がるようになり、 逆にいうならやっと普通に下から上までちゃんと走る駆動系になったと感じます。
で、ここからが不思議。最高速が上がるんです。
ストッパー無しのときが行き88km/h、帰り82km/hだったんですが、 ストッパー付きだと行き92km/h、帰り84km/h。
風の影響も考えられるけど、速度が変わるような風速の変化はありませんでした。 道端で組み直してのピストン計測だったので時間経過は10分もなかったはずです。 その間に平均風速が大きく変化するとは考え難いし。
このときのベルト最大リフト径が90ちょうどくらい。
ストッパー無しのときよりリフト量は下がってるのに最高速は上がってるんです。
これの理由の推測は後述します。モチロン風のせいにするのも簡単でいいですけどね。
17mmWR、短ボス、プーリーストッパー3.5mm
ここから先は不思議な現象は無く、ストッパーを入れた分だけ変速終了が早まり、 最高速が落ちるという傾向に戻ります。
最高速は行きが90km/h帰りが83km/hあたり。
このときのベルト最大リフト径が89くらい。
17mmWR、短ボス、プーリーストッパー4.0mm
ストッパーを入れた分だけ変速終了が早まる傾向は変わらないんだけど、
18mmWRでストッパーを4.0mm入れたとき
のような、 変速終了時の異様な加速があまり感じられなくて少々残念。
これ以上はストッパーを入れる意味はないでしょう。ゼロゴに使うなら別ですが。
プーリー固定前にマークするの忘れちゃったので1ヶ所だけ。
前回より1mmほど下がってるのでリフト径にすると87でしょうか。
まとめ
プーリーストッパー挿入時の最高速アップについて
やはりプーリーの外壁の位置ズレのせいだと思います。
WRがプーリー外壁で止まると位置ズレのために回転バランスが悪くなる。
一方WRが壁に当たる前にプーリーストッパーで止めるとバランスを保ったまま回転するので、 最高回転が伸びやすいのではないか?
じゃ、なぜ
ノーマル18mmWRのとき
はプーリーストッパーを入れても最高速が上がらなかったのか?
その時使ったノーマルWR
分かり難いけど偏磨耗があって最大で直径が0.2mm減ってます。
つまり18mmWRのときは偏磨耗があったために、 どこでWRが止まろうと回転バランスが悪かったのではないかと推測しています。
17mmWRのときに使ったDAYTONA製はほとんど新品で、 元々DAYTONA製はほとんど偏磨耗したことがない優秀な摺動部品なので真円度が高く 回転バランスも出しやすいのではないでしょうか。
確定するにはDAYTONA製18mmWRを買い込んでもう一度テストする必要がありますが、 お金もないしいいかげんピストンテスト地獄には一段落付けたいのでカンベンしてください。
全般的な変速性能について
17mmWR、短ボス、プーリーストッパー3mmの組み合わせでは、 ゼロスタート時に30km/hのあたりで一瞬「ん?コレかな」くらいの谷が残るけど、 登り坂で発進してもその谷にハマることはないし、 低速、高速どこからスロットルを開けてもストレス無く速度上昇。
再加速のキックダウンもノーマル吸排気なら納得のできるレベルだと思います。
「プーリーストッパーのオカゲ」とハッキリ言い切れる変化がなかったのは残念だけど、 17mmWRとの相乗効果で5FAは更正できたと言って良いと考えます。
本来はこのレベルまで煮詰めてから発売してほしかったと思うけど、 文句いっても「改造のネタ提供してやってるんだゾ」と ヤマハさんに開き直られちゃうような気もします。
いやぁ〜、確かにねぇ。
今回タコメーターが壊れてて速度上昇時にエンジン回転が上昇してるか確認できなかったけど、 今度はタコを直して5FAのハイスピードプーリー加工をやってみようと思います。
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