ShotGun用サイレンサー自作:その2-消音構造編


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ShotGunチャンバーのサイレンサー脱落防止対策のため、 サイレンサーを軽量化し取付け方法を見直してみました。
 
軽量化といっても静音化のために換装していたTZRサイレンサーの半分になったという話であり、 元々ShotGunに付いていたサイレンサーよりは重くなってしまいました。
 
しかし分解が容易な構造にしたので消音材の巻き方や減衰バッフルを工夫することで、 音量の少ない待ち乗り仕様、排気抜け最優先のバトル仕様など、 用途に応じてサイレンサーのセッティングを変更できるようになりました。
 
なにしろ排気の通り道であるインナーパイプはShotGunのサイレンサーの1.9倍の断面積です。 その気になればメーカー出荷仕様よりハイパワーを得られるはずです。
 
前回まででサイレンサーの構造体を作り終わったので、 今回は実際に消音材を巻いて試走してみようと思います。
 
 
 





消音材の構成についての考察

基本的には多孔インナーチューブの周りにグラスウールを巻いていくのですが、 一般的なサイレンサーと同じ巻き方をしたのでは一般的なサイレンサーと同レベルの騒音が出ることは 想像に難くありません。
 
自分なりに考え、工夫して静かなサイレンサーを作ってみたいのですが、 そこで役に立つのが先日見学してきた第28回東京モーターサイクルショーでの展示や 手持ちの不用サイレンサー。
 
モーターサイクルショーで見た色々なサイレンサーの断面模型や、 不用になってバラした公道走行用車両のサイレンサーの内部構造から、 「静かなサイレンサー内部構造」について様々なヒントを得ることができました。
 





排気衝撃波を消音室へスムースに導入するには

これはモーターサイクルショーのヨシムラのブースにあったサイレンサーのカットモデルです。
パンチングメタル→空間→パンチングメタル→アルミウール→グラスウールという構造になってます。
 
 
パンチングメタル製のインナーチューブにいきなりグラスウールを巻き付けないのは、 パンチ穴から衝撃波をラジアル方向にスムースに拡散させるためだと思われます。
 
いくら繊維でできたグラスウールとは言え、パンチングメタルに直接巻きつけると、 パンチ穴の外周に支えられたウール表面に衝撃波の波長の短い成分が 跳ね返されてしまうのではないかと想像されます。
 
ホントはヨシムラ管みたいに2重のインナーチューブ構造を取りたいのですが、 インナーチューブ外周とグラスウールの間に隙間を取るためなら、 グラスウールより目が粗いアルミやステンレスのウールを巻くことで、 同様の効果が得られると思います。
 
 

それをやったのが、このスーパートラップのサイレンサーなのでしょう。
パンチングメタルのインナーチューブにアルミと思しき繊維を巻きつけてから、 その上にグラスウールを巻いてます。
 
 
この上記2つのサイレンサーの構造をまねてみようと思い、東急ハンズの素材コーナーを物色していたら、 色々な繊維を板状に集積したものを売ってました。
 
繊維の太さや隙間のあき具合などを見てステンレスの繊維板を買ってきました。  
 

そのステンレスウールを巻いた状態がこれです。
ウールを巻いてから、あまりきつくならないようにステンレスの針金で固定しました。
 
 
このステンレスウールなんですが取り扱い注意です。
繊維がチクチク指に刺さるのでトゲ抜きを常備して作業、 ひと仕事終わったら速攻で掃除機を掛けとかないと今度は足の裏に刺さってきます。
 
ちなみにグラスウールを扱うときもマスクなんかをして作業したほうが良いでしょう。
石綿(アスベスト)ほどじゃないけど、こんな細いガラスの繊維なんか吸い込みたくないものです。
 
 
 
 

消音室内に導入した衝撃波を減衰させる

これはもう言わずと知れたグラスウールで減衰させるわけですが、 ウールの巻き方で減衰特性が変わることが予想できます。
 
あまり特殊な巻き方をするつもりは無いので、今回は巻きつけ圧力について考えてみました。
 
と言うのも、バラしたサイレンサーはどれもウールがかなり硬く巻きつけられており、 2ストオイルと排気の熱で成形されて、ウールを抜いてもその形を保っているような状態でした。

これはTZRのサイレンサーのウールです。
この形のまま、スポッと抜けてきます。

こちらはNSRのサイレンサーですが、 やはりウールが形を保ったまま抜けてきます。
 
 
思うに、排気の衝撃波はかなりエネルギーがあるため、ある程度硬めに巻き付けないと 衝撃波を減衰しきれないままアウターチューブ内側に当たってしまい、 アウターチューブ自体が共振してしまうのでしょう。
 
市販車用のサイレンサーみたいにアウターチューブが重くて頑丈であれば、 衝撃波といっしょに共振することもないと思いますが、 今回自作のサイレンサーアウターチューブはアルミ製で厚さは2mmです。  
TZRやNSR用以上に強く巻く必要があると思いますが、 逆に全体的に強く巻きすぎるとステンレスウールでソフト領域を作った意味が無くなります。
内側はソフトに、外側に行くにしたがって硬くなるように巻ければベストだと思いますが、 サイレンサー製造職人でもなければそんな芸当できません。どうしましょうか?

グラスウールで減衰しきれなかった高周波成分をカットする

それなら外側だけちょっと固めの材質を巻いてみようか、 ということでグラスウールを巻いた外側に適度に硬い筒状の材質を被せてみようと思い立ちました。
 
瞬時に頭に浮かんだのは紙筒です。
食品用ラップの紙芯みたいなもので外径が50mmくらいのものがあればいいなぁ、と思いました。
工芸・画材屋さんかなにかに行けばありそうですね、あれ?そう言えば....

先日家中を片付けて色々要らないものを廃棄したんですが、 その時に卒業証書がいっぱい出てきてまだ捨ててなかったんですが、 その紙筒がちょうど外径50mmじゃないですか!
 
 
卒業証書一本分の紙筒ではサイレンサー半分の長さしか取れないので、 同じ中学校を卒業した弟の卒業証書の紙筒も徴収します。
ほかにも小学校と高校の卒業証書の紙筒もあったんですが、 外皮がワニ皮風のコーティングで、熱を受けるとアウターチューブ内側に貼り付きそうなので却下です。

外側に紙筒を被せるので、グラスウール自体はギュウギュウに硬く巻くことはしませんでした。 説明書きには「クロス(布状)面を内側にすること」と書いてありましたが、 内側から拡散してくる衝撃波を受けるには柔らかいウール面を内側にしたほうがイイに決まってます。 ウールの飛散防止のためでしょうが、ステンウールが入ってるし問題無いでしょ。

♪制服のぉ胸のボッタッンを〜♪
って古いですか?“卒業サイレンサー”とか呼んでやろうと思います。





消音構造完成

重量測定

当初の予定では765gになるはずだったんですが、最終的に792gになりました。
差分の30gはステンレス針金と思い出の質量ということになります。





試走

1回目、延長テールパイプ付き

持ってる用品全部つけた状態になります。
なんかヤ○キーのタケヤリマフラーみたいであまり好きじゃありません。

しかも仮固定なのでこの有様。
こんな状態で天下の公道を走る人の常識を疑ってしまいます。
 
 
ウルサイです。
NSRのサイレンサーを付けてたとき より若干マシだけど、 TZR用 よりは確実にウルサイです。
ノーマルマフラーとは比べるべくもありません。
 
でも、なにしろパワーが(笑)
ひさしぶりのショットガンなのでスロットル開けるのが楽しくて仕方ありません。 音量自体はNSR用と同じくらいなのですが、低速度領域で出ていた共鳴音がなく、 スロットル開度に応じてリニアに音量が上がるので、 住宅街走行やおまわりさんと併走するときなどはスロットル開度を下げれば問題なさそうです。
 
ちょっと、一点。
スタートから回転を伸ばして行くと、最高回転までに何度か「クォンクォン」と変な共鳴音が 出る領域があります。
たぶんこの長いテールパイプで発生してるんでしょう。
 
 

第二回、テールパイプ取外し

家に帰ってテールパイプを取外しました。
排気の衝撃波の残りが前方に排出されるので確実にウルサくなると思いますが、 共鳴音の有無だけ確認する意味でこの形状で走ってみました。
 
 
案の定、共鳴音が無くなって、音質一定のままスロットル開度に応じて音量が上がって行きます。
音量も大きくなります。正確には自分に向けられる成分が増えてウルサイと感じるだけなので、 排気を後ろに向けても自分はいいけど後ろのひとは逆にウルサく感じるはずです。
 
 

第三回、テールパイプ切断して取付

ヤッパ、ユーロ管はコーデネート。

前方から見た様子。

接続部のアップ。
リアフェンダーのシールはダース売りの軍手に貼ってあったもの。 粘着力が弱いのでそのうち剥がれるだろうと思ってシャレで貼ったんだけど、 2ヶ月近く経った現在も剥がれずにくっついてます。どうしたものか。
 
 
妙な共鳴音もなく、排気圧が後ろに排出されるので騒音は若干改善されます。 周囲の人がウルサイのは変わりありませんが。
 
サイレンサーの形状はこれで決定としようと思います。
中間支持は付けてないけど絶対必要というわけではなさそうですが、 あると安心なのでなにかソフトに支持するような構造を考えてみようと思います。
 
ただし、まだ相当ウルサく気軽にエンジンを掛けて乗り出す気になれないので、 サイレンサーの中身を色々作り替えてみようと思います。
まずは内部を2室構造にして、そのうちの1室に消音バッファーを取り付けてみることにします。

 
 
 
 
次、静かなるサイレンサーを求めて

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